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相続代行サービスとは?できること・できないこと

相続代行サービスとは?できること・できないこと

まず相続が発生すると、多くのご家庭で直面するのが「やるべき手続きの多さ」と「必要書類の煩雑さ」です。

相続人の確定、財産調査、遺産分割協議、金融機関や証券会社の手続き、不動産の名義変更、相続税の申告……。どれも期限や形式があり、抜け漏れがあると後日のトラブルや余計なコストにつながりかねません。

こうした負担を軽減するために用いられるのが、専門家による相続代行サービスです。
本記事では、相続代行の「できること/できないこと」を整理し、依頼前に確認すべき要点をわかりやすく解説します。

相続代行サービスとは?

相続代行サービスとは、相続財産の調査や名義変更の手続き、相続税申告など、一連の相続手続きを専門家(行政書士・司法書士・税理士・弁護士・金融機関など)が相続人に代わって行うサービスです。

相続人が忙しくて時間がない、手続きが複雑で難しい、専門的な知識がない場合などに利用されるサービスで、時間的・精神的負担を軽減できます。
どのような相続財産があるか、相続人全員で合意できそうかどうかなどの依頼内容によって、依頼できる専門家が異なります。

信託銀行一部の都市銀行、地方銀行などでも、相続手続きの代行サービスを取り扱っています。

銀行による相続手続きの代行サービスは、銀行が窓口となって、不動産の相続登記、相続税の申告などの相続手続きを、銀行と提携している司法書士、税理士などの専門家へ取次ぎ依頼を行います。

したがって、信用ある金融機関に依頼できるというメリットがある一方、相続手続きを担う専門家の費用のほかに、銀行の手数料もかかるため、一般的に費用総額が高く、手数料の最低額が100~120万円程度が設定されていることが多く、各種行政手数料や登録免許税などの実費を含めると高額になる傾向があります。

要するに相続代行とは、相続手続きのうちご本人でなければできない行為を除いた事務手続きの大半を、専門家が計画的に進めるサービスです。
依頼者は「決めるべきことの意思決定」に集中でき、手続きの段取りや手続きに必要な公的書類の収集や各種書類の作成は専門家に任せることができます。

相続代行でできること(当事務所の場合:税理士/行政書士事務所)

    • 戸籍収集(出生から死亡までの連続戸籍・除籍・改製原・住民票の除票など)の手配
    • 法定相続情報一覧図の作成・代理取得
    • 財産調査(不動産、預貯金、証券、保険、未収金・未払金など)の整理
    • 金融機関の相続手続き(口座凍結解除、払戻し、名義変更)の書類作成と受取り手配
    • 証券会社の相続手続き(書類作成、受取口座の手配、移管手続き代行)
    • 遺産分割協議書の作成サポート(内容の整理、案文作成、相続税シミュレーション、押印書類回収などの進行管理)
    • 不動産相続登記の添付書類の代理取得や登記申請(提携司法書士による)
    • 相続税申告書の作成、財産評価、納付手続きの案内 など

相続代行でできないこと(当事務所の場合:税理士/行政書士事務所)

  • 各種書類への実印の押印、印鑑証明書の取得(ご本人しかできない行為)
  • 相続人間の交渉代理や紛争解決(弁護士の専任領域)
  • 家庭裁判所での代理・調停での代理人活動(弁護士の専任領域)

関与する専門家の役割と使い分け

  • 行政書士:官公署提出書類の作成・相談支援。戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書案などの書類作成。
  • 税理士:相続税の試算・節税提案・申告書作成・電子申告・税務代理。財産評価や特例適用の検討も担当。
  • 司法書士:不動産の相続登記申請の専門家。登記申請書の作成・申請代理を担当。
  • 弁護士:争いが生じた場合の交渉・調停・訴訟代理。遺留分侵害額請求対応など法的紛争の解決。

相続手続きは、同じ書類を別の場所に提出するケースが多いので、横断で手続きを進めるのが効率的です。
当事務所では、相続人間での紛争対応が必要な場面を除いて、窓口を一本化して手続きをスピーディーに代行させて頂いております。

相続代行に依頼するメリット

  • 経験豊富な専門家による手続きのため、手続き漏れが減り、進行もスムーズ
  • 第三者である専門家による相続手続きによることで、透明性が確保(相続人の間での不審回避)
  • 書類不備による差し戻しや再作成などの防止
  • 遠方在住・相続人多数・財産多岐などでもスムーズな手続き
  • 金融機関・不動産手続き・税務対応など領域横断の一体管理で手続き時間を短縮
  • 税務手続きの見落とし回避(小規模宅地などの税額軽減、各種控除や非課税措置など)

相続代行に依頼するデメリット

  • 専門家への報酬コストがかかる
  • 実印の押印、印鑑証明書の取得など(本人しかできない行為)の最低限の手間はかかる
  • 相続人間に紛争がある場合は、弁護士関与が前提となることがある

相続代行への支払い総額(依頼料金と実費)

各種専門家への相続代行を依頼する際には「相続手続代行料金」のほかに「手続きにかかる実費」が必要となります。

手続きにかかる実費例戸籍除籍謄本、住民票、不動産評価証明書などの行政発行手数料
戸籍除籍謄本などの発行にかかる定額小為替手数料(枚数による)
・不動産の登記事項証明書や公図、名寄帳の発行手数料
・公的書類の郵送請求の往復切手代
・金融機関の残高証明書などの発行手数料
・不動産登記の登録免許税(不動産の固定資産評価額による)など

依頼前にチェックした方が良いもの

  • 被相続人(亡くなられた方)と相続人の基礎情報(氏名・生年月日・住所・本籍・婚姻歴)
  • 通帳、証券残高、保険証券、年金関係書類、貸金庫情報の所在
  • 不動産の固定資産税納税通知書・登記事項証明書・権利証の所在
  • 借入金、連帯保証など債務の有無
  • 遺言書の有無・保管場所(公正証書/自筆証書・保管制度の利用有無)

 

◆ 編集後記 ◆
身内の方が亡くなると葬儀の手配から始まり、慌ただしい毎日が続きます。
市区役所や年金事務所への手続きが終わり、四十九日法要の頃になるとやっと少し落ち着く頃かと思います。
一度身の回りの整理を始める前に、専門家に相談されることをオススメ致します。

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